特定非営利活動法人 NPO法人 SIDS家族の会

SIDS家族の会は、SIDSやその他の病気、または死産や流産で赤ちゃんを亡くした両親を精神的な面から援助するためのボランティアグループです。
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SIDSとは

SIDS予防キャンペーンについて

SIDSについて今日知られていることの多くは、危険因子のことです。現在まで、一人でも多くの命を救うために、危険因子を如何に減らすかということに重点が置かれてきました。

減らすことのできる危険因子とは、うつ伏せ寝、母乳保育でないこと、部屋の温め過ぎ、赤ちゃんの近くでの喫煙などです。

この問題については、常に多くの議論がなされています。SIDSは、予期できぬ原因不明の病気ですが、赤ちゃんを持つ人達は、何とかSIDSを予防できないものかと情報を求めています。

私たちは、SIDSについての専門的なグループですから、赤ちゃんの命を救える危険因子についての情報を持っています。そして、その情報をできるだけ多くの人々に知らせることが使命であると考えています。

そこで、日本でもSIDSの予防キャンペーンを行い、まず、医療関係者達に情報を提供することから始めました。1996年の初頭にはパンフレットを作成し、一般の方々に配布しました。

キャンペーンの成果

下記の表に示すとおり、SIDSの発生率は年々減少しており、SIDSの知識を広め、危険因子に関心を持って子育てをすることが大切であることがわかります。キャンペーンは現在でも継続しており、一人でも多くの赤ちゃんを救うことが出来るよう、子どもに関わる全ての人にこの知識を広めていきたいと考えています。

1995 1996 1997 1998 1999
SIDS 発生率 0.443 0.395 0.416 0.299 0.31
死亡数 526 477 496 360 365
乳児死亡率 4.3 3.8 3.7 3.6 3.4

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008
SIDS 発生率 0.265 0.248 0.219 0.194 0.193 0.164 0.162 0.135 0.14
死亡数 315 290 253 218 214 174 177 147 153
乳児死亡率 3.2 3.1 3.0 3.0 2.8 2.8 2.6 2.6 2.6

(財団法人母子衛生研究会編集 母子保健の主なる統計 より)

赤ちゃんを失った家族に与える影響

けれども、一つ非常に大切な問題があります。それは、このようなキャンペーンがSIDSの家族にどんな影響を与えるかということです。赤ちゃんを失った家族が危険因子についての情報を知ったなら、様々な感情が入り交じり困惑するかもしれません。

危険因子に関する情報を得たことで罪悪感を感じるかもしれません。知らなかったとはいえ、自分の赤ちゃんをSIDSの危険にさらしていたことに対する罪悪感です。「私がうつ伏せにさせたから、あの子は死んでしまったのだろうか」と。

SIDSの家族においてもう一つよく見られる反応は、その危険因子について教えてくれなかった医師や保健婦などに対する激しい怒りの感情です。「海外では、この情報は広く一般の人々にも提供されていたのに、日本ではどうして知らされていなかったのだろうか」と。

危険因子に関する情報を公に広めていくにあたっては、関係者に必ず以下の事柄を説明してください(マスコミ関係者に何かを話す時も、必ず、その記事やリポートの中に下記の情報を入れてもらうようにしてください)。

  • 『キャンペーン』という言葉を使って減らすことができる危険因子を挙げていくときに、私達は、ともすればSIDSの今までの研究の成果について最も基本的な点を忘れがちです。それは、現状では、まだ、何が本当にSIDSを引き起こすのかについて誰もわかっていないということです。ですから、私達が危険因子について慎重に語らなければ、人々は、危険因子さえ取り除けばSIDSは防ぐことができると思ってしまうかもしれません。
    実際、危険因子のない環境で育てることで防げるSIDSもいくつかあります。
    しかしながら、SIDSは、どんな赤ちゃんの命をも奪う可能性があります。危険因子の全くない赤ちゃんの命さえ奪うことがあるのです。従って、仰向け寝にされていても、その赤ちゃんが死ぬことはあります。SIDSは予知できませんから、100%予防できるわけではありません。危険因子がSIDSの原因ではないのです。全ての危険因子を取り除いたとしても、尚、SIDSが生じることはあるのです。
  • 最近まで、危険因子に関する情報は、日本語では手に入りませんでした。従って、日本の医師達は、その時点で得られる情報から一番良いと思われるアドバイスをしてきました。今では、「SIDS 家族の会」と仁志田先生の努力で、情報が手に入るようになりました。けれども、私達の懸命の努力にかかわらず、日本全国の地域に情報が行き渡るまでにはまだある程度時間がかかります。現在でも、SIDSの予防について何も知らない親や医療関係者がいるかもしれません。
  • SIDSで亡くなった赤ちゃんは、本来、よく世話をする親の元で育てられた正常で健康な赤ちゃんだったのです。

キャンペーンを行うにあたり、忘れてはならない重要な点として以下のような事柄が挙げられます。

  • 私たちがどんなに気をつけていても、新聞に載る記事を全てを管理することは不可能です。これは、広報活動を行うどの組織にも共通の悩みです。私達も、以前、予防キャンペーンではなく他の問題で、私達が意味した事が誤って引用されたり、誤解されたり、または、大事な点が省かれたりしたことがあります。
  • 罪の意識と怒りの感情は、それが如何なる形の死別であろうと、後に残された人々によく見られる感情です。SIDSは、わからないことが多く説明できないだけに、特に赤ちゃんを亡くした親達の中にこうした感情が強く見られます。私達がキャンペーンを行うにせよ行わないにせよ、大部分の親達は、この罪の意識と怒りを幾分なりとも抱いているのです。